オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2026年7月13日

フジイNEWS~樹脂選定の技術🧪⚙️~

皆さんこんにちは

株式会社フジイの更新担当の中西です。

 

~樹脂選定の技術🧪⚙️~

 

工業用プラスチック製品は、自動車、半導体製造装置、食品機械、医療機器、建設設備、電気機器など、さまざまな産業で使用されています。

私たちの身近にある容器や日用品とは異なり、工業用プラスチック製品には、強度、耐熱性、耐薬品性、寸法精度、絶縁性、耐摩耗性など、用途に応じた高度な性能が求められます。

同じ形状の部品であっても、使用する樹脂の種類が違えば、熱への強さ、衝撃への耐久性、加工のしやすさなどが大きく変わります。

そのため、工業用プラスチック製品製造業では、図面どおりの形をつくる前に、「どの材料を使うか」を正しく判断することが非常に重要です😊

今回は、製品の品質や寿命を左右する、工業用プラスチック材料の選定技術について紹介します。

使用環境を正確に把握する🔍

材料を選ぶ際に最初に確認するのは、製品がどのような環境で使用されるかということです。

屋内で使用するのか、屋外で使用するのかによって、必要な耐候性は変わります。

高温になる機械の近くで使う場合は、熱によって軟化や変形が起こりにくい材料が必要です。反対に、冷凍設備や寒冷地で使用する部品では、低温時に割れやすくならない材料を選ばなければなりません❄️

薬品や油に触れる部品であれば、その液体に対する耐性も確認します。

一見問題がないように見えても、長時間接触することで樹脂が膨らんだり、ひび割れたり、強度が低下したりする場合があります。

洗浄剤、アルコール、酸、アルカリ、潤滑油など、具体的に何へ接触するのかを確認することが重要です。

また、製品へどの方向から、どの程度の力がかかるのかも把握します。

常に荷重がかかる部品、繰り返し動く部品、衝撃を受ける部品では、それぞれ異なる性能が必要です。

材料選定は、単にカタログの強度数値だけを見るのではなく、実際の使用条件を詳しく聞き取ることから始まります。

汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック🧬

工業用プラスチックには、多くの種類があります。

比較的幅広い用途に使われるポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ABS樹脂などは、加工性や価格のバランスに優れています。

ポリエチレンは耐薬品性や電気絶縁性に優れ、タンク、ガイド、ライナーなどに使われます。ポリプロピレンは軽量で、薬品や水に触れる設備部品に利用されることがあります。

ABS樹脂は、外観、強度、成形性のバランスが良く、機器カバーや筐体などに使われます。

さらに高い耐熱性や機械的強度が必要な場合には、エンジニアリングプラスチックが選ばれます。

ポリアセタール、ナイロン、ポリカーボネート、PETなどは、歯車、ローラー、軸受、機械部品などに利用されています⚙️

より厳しい高温環境や薬品環境では、PEEK、PPS、フッ素樹脂などの高機能樹脂が使われる場合があります。

ただし、高性能な材料ほど高価になる傾向があります。

必要以上に高性能な材料を選ぶのではなく、製品に必要な条件を満たしながら、価格や加工性も考慮することが重要です。

耐熱温度だけでは判断できない🔥

材料選定でよく確認される項目の一つが耐熱性です。

しかし、カタログに記載された耐熱温度だけで、使用できるかどうかを判断することはできません。

短時間だけ高温になるのか、長時間連続して高温へさらされるのかによって、材料への影響は変わります。

荷重がかかった状態で温度が上がると、常温では問題のない部品でも、徐々に変形することがあります。

また、急激な温度変化を繰り返す環境では、膨張と収縮によってひび割れや寸法変化が起こる可能性があります。

金属部品とプラスチック部品を組み合わせる場合は、熱膨張率の違いにも注意が必要です。

プラスチックは金属よりも温度による寸法変化が大きい材料が多いため、固定方法や隙間を考えなければなりません📏

吸水による寸法変化を考える💧

ナイロンなど一部の樹脂は、空気中や水中の水分を吸収します。

吸水すると、材料の寸法、重量、強度、柔らかさなどが変化する場合があります。

精密な機械部品では、わずかな膨張でも組付け不良や動作不良につながる可能性があります。

湿度が高い場所や水中で使う製品では、吸水後の寸法を考えた設計が必要です。

一方で、吸水によって衝撃に対する強さが変化することもあります。

材料の性質を正しく理解し、使用前の乾燥状態だけでなく、実際の使用環境でどのように変化するかを考えます。

吸水の影響が問題になる場合は、吸水率の低い材料へ変更することもあります。

摩擦と摩耗への強さを考える🔄

ローラー、ギア、ガイド、軸受など、ほかの部品と接触しながら動く製品では、摩擦や摩耗への性能が重要です。

摩擦係数が高い材料を使用すると、動作が重くなり、発熱や摩耗が増える可能性があります。

自己潤滑性を持つ樹脂や、潤滑剤を配合した材料を使用することで、油を使いにくい環境でも滑らかな動きを実現できます。

食品機械やクリーンルーム設備では、油やグリスを使いにくい場合があります。そのような環境では、低摩擦性を持つプラスチック部品が役立ちます✨

ただし、摩耗に強い材料でも、相手側の金属や樹脂を傷めることがあります。

どの材料同士が接触するのか、速度、荷重、温度などを確認し、組合せとして評価する必要があります。

電気的な性能を選ぶ⚡

プラスチックは一般的に電気を通しにくい材料ですが、すべてが同じ絶縁性能を持つわけではありません。

電気機器の絶縁部品では、使用電圧、温度、湿度などに合った材料を選びます。

半導体や電子部品を扱う現場では、静電気が製品へ悪影響を与えることがあります。

その場合は、導電性や帯電防止性を持つ材料を使用します。

樹脂へカーボンや特殊な添加剤を配合し、電気抵抗を調整した材料があります。

絶縁性が必要な場所へ導電性材料を使ったり、静電気対策が必要な場所へ通常の樹脂を使ったりすると、設備トラブルにつながります。

材料名だけでなく、電気特性の等級まで正確に確認することが重要です。

難燃性と安全性を確認する🛡️

電気機器や設備内部で使用する部品には、燃えにくさが求められることがあります。

難燃性を持つ樹脂は、火が付いた場合に燃え広がりにくいよう設計されています。

ただし、「難燃」という言葉は、絶対に燃えないことを意味するものではありません。

製品の使用場所や要求される規格に合わせ、適切な難燃等級の材料を選びます。

また、食品や医療に関係する設備では、材料から溶け出す成分や衛生性も重要です。

食品と接触する部品には、用途に対応した材料を選び、材料証明書などを確認します📋

安全性に関わる用途では、見た目や価格だけで材料を変更してはいけません。

添加剤や強化材による性能向上💪

プラスチック材料には、性能を高めるためにさまざまな添加剤や強化材が配合されることがあります。

ガラス繊維を加えることで、強度、剛性、耐熱性、寸法安定性を高められる場合があります。

炭素繊維を配合した材料は、軽量でありながら高い強度を持ち、導電性を持たせる目的でも使われます。

潤滑剤を配合すれば、摩擦や摩耗を抑えられます。

紫外線吸収剤や安定剤を加えることで、屋外での劣化を抑えることもできます☀️

ただし、添加剤を加えることで、別の性質が変化することがあります。

ガラス繊維入りの材料は剛性が高い一方、加工工具が摩耗しやすく、表面が粗くなる場合があります。

強化材の配合方向によって、収縮や強度へ方向性が出ることもあります。

材料の一つの性能だけでなく、総合的な特徴を理解することが必要です。

加工方法との相性を確認する⚙️

材料は、必要な性能だけでなく、どのような加工方法で製品化するかも考えて選びます。

射出成形、押出成形、切削加工、真空成形、溶接など、加工方法によって適した樹脂は異なります。

射出成形では、溶けた樹脂が金型内を流れやすいか、冷却後の収縮がどの程度かを確認します。

切削加工では、加工熱によって溶けたり、バリが大きく出たりしないかが重要です。

溶接する製品では、材料同士の接合性も確認します。

高性能な材料でも、希望する形状や数量に適した加工方法がなければ、コストが大きくなる可能性があります。

材料と加工方法を一体として考えることが、製造業者の技術です。

材料のロットと保管を管理する📦

同じ材料名であっても、製造ロットや保管状態によって加工性にわずかな違いが出る場合があります。

吸湿しやすい材料を開封したまま放置すると、水分を含み、成形時に気泡や表面不良が発生することがあります。

必要に応じて乾燥機を使用し、決められた温度と時間で乾燥させます。

材料袋には、材料名、色、グレード、ロット番号などを表示し、取り違えを防ぎます🏷️

似た色や形のペレットでも、性能は全く異なる場合があります。

誤った材料を使用すると、外観では分からなくても、使用中に破損する可能性があります。

どの製品へどの材料ロットを使用したかを記録し、問題が起きた際に追跡できるようにします。

お客様の要望を技術条件へ変換する🤝

お客様からは、「丈夫にしてほしい」「薬品に強くしたい」「軽くしたい」といった要望を受けることがあります。

しかし、丈夫という言葉だけでは、引っ張り、曲げ、衝撃、摩耗のどれを重視するのか分かりません。

どのような使い方をするのか、現在どのような不具合が起きているのかを詳しく聞きます。

金属部品からプラスチック部品へ変更したい場合は、軽量化や錆対策というメリットだけでなく、剛性や熱膨張の違いも説明します。

技術者が条件を整理し、材料ごとの長所と注意点を提示することで、最適な選択ができます😊

材料選定が製品の寿命を決める🌟

工業用プラスチック製品の品質は、加工精度だけで決まるものではありません。

使用温度、薬品、荷重、摩擦、湿度、電気特性などを確認し、用途に合った材料を選ぶ必要があります。

高価で高性能な樹脂を選べば安心というわけではなく、必要な性能、加工性、価格、供給性のバランスを取ることが重要です。

工業用プラスチック製品製造業における材料選定技術とは、樹脂の名前を知っていることではありません。

一つひとつの材料の特徴を理解し、実際の使用環境でどのように変化するかを予測する技術です。

製品の表面からは見えない材料選びの積み重ねが、安全で長寿命な工業部品を支えているのです🧪⚙️✨