皆さんこんにちは
株式会社フジイの更新担当の中西です。
~ミクロン単位の精度~
工業用プラスチック製品には、ほかの部品と正確に組み合わさることが求められます。
穴の位置が少しずれているだけでボルトが入らない、内径が小さいため軸が回らない、外径が大きくカバーへ収まらないといった問題が起こる可能性があります。
自動車、電子機器、産業装置などでは、複数の部品を組み立てて一つの製品を完成させます。そのため、一つひとつのプラスチック部品が図面で指定された寸法に収まっていなければなりません。
しかし、プラスチックは温度、湿度、加工応力などによって寸法が変わりやすい材料です。
金属加工と同じ感覚で製造・測定すると、使用時に寸法が合わなくなることがあります。
今回は、工業用プラスチック製品の精度を支える金型、治具、測定、寸法管理の技術について紹介します😊
製造前には、製品図面を詳しく確認します。
外形寸法、穴径、穴位置、厚さ、角度、表面粗さ、寸法公差などを読み取ります。
すべての寸法を同じ精度でつくる必要はありません。
ほかの部品と嵌め合う部分、密閉する部分、軸が回転する部分などは、特に高い精度が必要です。
一方、外観だけに関係する部分や十分な隙間がある部分では、比較的広い公差が設定されることがあります。
どの寸法が製品機能に直結しているかを理解し、加工と測定の重点を決めます🔍
図面に不明な点がある場合は、自己判断で進めず、設計者やお客様へ確認します。
プラスチックは、温度が上がると膨張し、下がると収縮します。
材料によっては、金属よりも大きく寸法が変化します。
工場内が暖かい状態で測定した部品を、低温環境で使用すると、内径や外径が変わる可能性があります。
精密部品では、測定時の室温を管理し、製品が十分にその温度へなじんでから測定します。
加工直後の部品は熱を持っているため、すぐに測ると正しい寸法を確認できません。
一定時間保管し、温度と内部応力を落ち着かせてから最終測定を行います。
吸水性のある材料では、湿度による寸法変化も考える必要があります💧
射出成形では、溶けた樹脂が冷えて固まる際に収縮します。
そのため、金型は完成品と全く同じ寸法ではなく、収縮を見込んで大きくつくられます。
収縮率は、材料、肉厚、樹脂の流れる方向、金型温度、成形条件などによって変化します。
ガラス繊維を含む材料では、繊維の向きによって収縮に方向差が出ることがあります。
縦方向と横方向で収縮量が異なると、製品が反ったり、穴位置がずれたりします。
過去の成形実績、材料データ、流動解析などを使って金型寸法を決めます💻
試作後には実際の製品を測定し、必要に応じて金型を修正します。
射出成形用金型は、製品形状をつくる重要な設備です。
金型の穴位置、平面、合わせ面などがずれていれば、製品にも同じずれが現れます。
金型は、マシニングセンタ、放電加工機、研削盤などを使って高精度に加工します。
加工後には測定を行い、図面どおりに仕上がっているかを確認します。
金型を開閉する際に位置がずれないよう、ガイド部品も正確に取り付けます。
金型の合わせ面に隙間があると、樹脂が漏れて薄いバリが発生します。
金型精度は、製品寸法だけでなく、外観や生産性にも影響します。
金型は、何千回、何万回と繰り返し使用されます。
樹脂や強化材が金型表面を流れることで、少しずつ摩耗します。
ガラス繊維入り材料などは、金型やスクリューへの摩耗が大きくなる傾向があります。
摩耗が進むと、製品寸法が変化したり、バリが増えたりします。
定期的に金型を分解し、合わせ面、入れ子、ピン、摺動部などを点検します。
清掃、給油、部品交換を行い、正常な状態を保ちます🧼
生産した製品の寸法変化から、金型摩耗を早期に発見することもできます。
切削加工では、製品を正しい位置へ固定する治具が重要です。
毎回手作業で位置を合わせると、加工位置にばらつきが出ます。
製品形状に合わせた専用治具を作り、基準面や穴を使って位置決めします。
薄い部品や柔らかい材料では、治具の締付け力で変形しないようにします。
測定にも専用治具を使うことがあります。
複雑な形状を一定の姿勢で置き、毎回同じ位置を測れるようにします。
良い治具は、作業時間を短縮するだけでなく、加工ミスと測定差を減らします😊
製品寸法を確認するために、ノギス、マイクロメーター、ダイヤルゲージ、高さ測定器、三次元測定機などを使います。
ノギスは幅広い測定に使えますが、非常に高い精度が必要な寸法には、マイクロメーターなどを使用します。
複雑な立体形状や複数の穴位置は、三次元測定機で確認できます。
測定器の選択だけでなく、当て方も重要です。
柔らかいプラスチックへ強く測定器を当てると、製品がへこみ、実際より小さな数値が出る場合があります。
一定の力で測れる器具を使い、測定者による差を減らします。
大量生産では、一個ずつ複雑な寸法測定を行うと時間がかかります。
そこで、製品が通るか通らないかで寸法を確認する限界ゲージや、形状を確認する専用ゲージを使います。
穴へ通る側と通らない側のゲージを入れ、規格内であることを確認します。
専用ゲージを使えば、作業者が短時間で合否を判断できます。
ただし、ゲージ自体が摩耗すると、正しい判定ができません。
定期的に寸法を確認し、校正や交換を行います。
測定器は、長期間使用するうちにずれや摩耗が生じる可能性があります。
正しくない測定器で検査すると、良品を不良品と判断したり、不良品を出荷したりする危険があります。
基準器と比較し、決められた周期で校正します。
校正日、結果、次回予定などを記録します📋
落下や強い衝撃を受けた測定器は、校正周期を待たずに確認します。
測定器へ管理番号を付け、誰がいつ使用したかを把握することも有効です。
製品が図面寸法内に入っていても、反り、ねじれ、真円度などに問題があると、組立てられない場合があります。
板状部品では平面度、軸や穴では真円度、複数の面では平行度や直角度を確認します。
プラスチック部品は、成形後の冷却や加工応力によって反りやすい特徴があります。
定盤やダイヤルゲージを使って変形量を測ります。
組付け状態を想定した検査治具へ実際に取り付け、機能を確認する方法もあります。
寸法表の数字だけでなく、製品全体の形状を評価することが重要です。
新しい金型や加工プログラムで生産を始める際は、最初の製品を詳しく検査します。
すべての重要寸法、外観、機能などを確認し、問題がないことを確かめてから量産へ進みます。
初品検査を省略すると、間違った設定のまま大量の不良品をつくる可能性があります。
材料、金型、工具、プログラム、測定結果を記録し、承認後に本生産へ移行します。
途中で工具や金型を交換した場合も、再度確認することがあります。
量産開始時に問題がなくても、加工工具や金型の摩耗、設備温度の変化によって寸法は徐々に変化します。
一定数量ごとに製品を抜き取り、重要寸法を測定します。
測定結果をグラフ化し、規格を外れる前の傾向を見つけます。
寸法が少しずつ上限へ近づいている場合は、工具交換や条件調整を行います。
不良品が出てから対応するのではなく、変化の傾向を見て予防することが重要です。
プラスチック部品は、金属の軸、ボルト、ベアリング、ケースなどと組み合わせて使われることがあります。
部品単体の寸法が合っていても、実際に組み立てると入りにくいことがあります。
温度、表面粗さ、相手部品の公差などが関係するためです。
可能であれば、実際の相手部品や同等のゲージを使って嵌合を確認します。
圧入する部品では、割れや変形が起きないかを評価します。
ねじ部では、締め付けた際の強度や繰り返し使用への耐久性も確認します🔩
検査結果は、製造日、設備、材料ロット、担当者などと一緒に記録します。
不具合が発生した場合に、どの時点から寸法が変化したかを調べられます。
同じ製品を再注文された際も、過去の条件と測定結果を参考にできます。
図面変更があった場合は、古い図面と混同しないように管理します。
最新版の図面番号や改訂内容を明確にし、製造現場と検査部門で共有します。
工業用プラスチック製品では、見た目が同じでも、わずかな寸法差によって機能が大きく変わります。
プラスチック特有の熱膨張、吸水、成形収縮、加工変形を考えながら、金型や治具を設計します。
適切な測定器と検査方法を使い、量産中の変化も管理します。
工業用プラスチック製品製造業における精密技術とは、ただ数字を細かく測ることではありません。
製品が実際に組み込まれ、長期間正しく機能する状態をつくるための総合的な寸法管理です。
ミクロン単位の丁寧な確認が、産業設備や機械全体の安定稼働を支えているのです📐🔩✨